誠を通して見たもの…

「私が使うとでも?

まさか、そんなことしませんよ」



少しでも未来を匂わせるようなことはしない。過去で生きて行くと決めたからにはこの時代の摂理に従い、私の時代のことは此処に持ち出してはいけないと思っている。だからあの日身に付けていた物はその日の内に全て燃やして処分した。



「だよな。

じゃあ、今のは方言ってやつか?」



「何が?」



「だから“むつけて”って言葉だよ。

お前、山南さんと同じとこ出身だよな。

それなのに山南さんから聞いたこと無かったからてっきりお前の時代で使われてる言葉かと思ったんだ」



なんだ、そう言うことか…


山南さんは仙台藩という、今の宮城県出身だ。


同じとこ出身ということで私も何回か山南さんと会話したことがあるが、確かに方言を使わない。それ已前に山南さんは丁寧な口調で話すから訛りが殆どない。



「確かに方言ですよ。

私の処では“拗ねる”や“へそを曲げる”っていう時に使うんです」