誠を通して見たもの…

先ず私と対峙している三人の男達はそれぞれ土方歳三、沖田総司、斎藤一と言うらしい。


ずっと私にいろいろと訊いてきた眼光鋭い男が土方歳三。


両脇で黙って事の成り行きを見ていた二人の男の内、私の右側に座る雰囲気が柔らかそうな男が沖田総司。


左側に座る無表情で寡黙そうな男が斎藤一。


そして土方さんの話によると、私は彼らが一緒に居合わせた処に音も無くパッと急に現れたそうだ。事情を訊こうにも私が気を失っていたため、目が覚めるのを待っていたらしい。


さて、どうしたものか…。


もし土方さんの話が本当なら私はタイムスリップしたことになる。非現実的だと思っていたことが実際に起こるなんて…。


でも実際、彼等は刀を持ち、着物を着ている。聞こえて来る音も車や飛行機などの機械的な音がしない。第一この部屋に電化製品などの近代的な物は無く、畳の少し青臭い匂いと墨汁の匂いが漂っている。


最早、近代的な物を探せば探すほど、タイムスリップしたことを裏付けるかの様な情報しか入ってこない。