誠を通して見たもの…

「そうか…、教えてやる。

此処が何処で俺達が何者なのか、そしてお前がどの様にして俺達の前に現れたのか」



「はい」



「その前に、名はなんと言う」



「吉田蘭花です」



私が名乗ると男の眉間のシワは少し取れ表情を和らげた。それでも男の眼光は鋭い。



「吉田…か。

先ず此処は新撰組の屯所である八木邸だ」



“やっぱり”
私の中で真っ先に思い浮かんだ言葉。


目が覚めた時から少しずつ感じていた。


耳に入って来る音。
視界に入って来る光景。
肌でひしひしと感じる空気。


それらがいつもと違う、と。


そして、男の口から明かされていく事実を私はただただ受け入れ、納得するしかなかった。