後悔したくない。
ずっと君と別れてからそう思っていた。
次は後悔しないように…そればかり考えていた。



今こうやって笑っていられることが嬉しい。
俺たちはあの頃とは違う関係になった。
初恋の相手から…ただの幼なじみになった。



それでも大切なことに変わりはない。
俺も誠も…茜の事を大事に想ってる。
他に一番大切にしたい人がいても……



「誠、いきなり悪いな」



俺は電話口で誠に謝った。
今から三人で遊ばないかと話したばかりだった。
茜がアメリカに帰ることを話すと、すぐに用意して来てくれると言ってくれた。



電話口で誠は苦笑する。



『いきなりって…茜がアメリカに戻るんだったら、彼女との約束もすっぽかすさ』



「わ、わりぃ…」



その言葉を聞いて、俺は思わず謝る。
杪ちゃんとデートだったのか…。



『杪も行ってきていいって言ったんだから気にしなくていい。大切な幼なじみのことだからな』



「あぁ……さんきゅ」



きっと誠の言っている『大切な幼なじみ』の中には俺も入っているんだろう。
嬉しくなって、思わず笑みが零れる。



『じゃ、今から行くな』



「あぁ」