蒼side



茜は帰ると決めると、すぐに帰る支度を始めた。
一度決めると行動が早すぎる。
アメリカに帰ると言っても、もう少しゆっくりしていけばいいのに…



そう思った俺は茜にそう言った。
すると、茜は首を横に振る。



「このままいても…居心地が良すぎて帰れないよ」



「茜の両親には言っておくって言っただろ?」



そう言うと、茜は苦笑する。



「……これ以上、甘えられないよ」



「せめてあと二日くらいいれば…」



もう少し話したいことがある。
誠と遊びに行くという話も果たせてない。



今話さないと…一生後悔するような気がした。



だけど茜は首を横に振った。



「これ以上いたら…アメリカに帰れなくなるよ」



アメリカに帰らなくていい。
ずっと…日本にいればいい。



思わず言いそうになったのをぐっとこらえる。
茜はもう決めたのだ。
俺の言葉では意志を曲げないだろう。