「…違います。あの人はきっと…あたしのこと、彼女と思っていませんから」
その微笑みが、あの時の表情とダブる。
彼女は…辛い恋をしている。
一瞬にして分かってしまった。
俺が…入る余地なんてないんだ。
「じゃあ…友達に…」
「…ごめんなさい」
それも断られてしまった。しかもはっきりと。迷いなんて感じられなかった。
そんなに嫌われているのか…?
だとしたら悲しすぎる。
そんな俺の気持ちを察したのか、彼女は小さな声で「違う」と呟く。
「あたしと…関わっちゃダメだよ…」
関わっちゃダメ?
その言葉の意味を俺は理解出来なかった。
頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。
どういう意味なんだ?
「それって…」
「本当にごめんなさい」
彼女は最後にそう謝ると、俺の横を逃げるように通り過ぎた。
…フラれた。
しかも、関わっちゃダメと言われた。
悲しい…辛い。
だけど、涙は出なかった。
「あたしと関わっちゃダメだよ」彼女の言葉が頭の中でこだまする。
どうして…彼女はそんなことを言ったんだ?
どうして…あんな悲しそうな顔をしていたんだろう。

