蒼side



芹奈を家に送り届けてから家に帰ると、玄関の前に誠が立っていた。
こんな夜中に珍しいなと思いながら、俺は誠に声をかける。



「誠」



「…帰って来たか」



「何か用か?」



俺が尋ねると、誠はポケットに手をいれたまま、じっと俺の顔を見る。
俺の顔に何かついているのか…?そう不思議に思いながら、誠を見る。



すると、誠ははぁーっと深いため息をついた。
その理由は全く分からない。
俺の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだった。



「何だよ…」



「いや…いきなり悪い。遊園地に行ったのに、楽しそうな顔じゃねなと思ってさ」



「あ、あぁ…色々あったからな」



急におかしくなった芹奈
途中で何処か行ってしまった茜
色々ありすぎて楽しかったのが嘘みたいになくなった。



「もしかして…茜に告白でもされたのか?」



「まさか…そんなんじゃねぇよ」



そう言って俺は誠の横を通り過ぎようとする。
その直前、誠は俺に向かってこう言った。



「お前…何で茜が帰って来たのか…まだ分からないのか?」



「お前は…分かってんの?」



「お前に…告白するために決まってるじゃん。あいつ…お前のこと、まだ好きなんだよ」



誠は呆れたように肩を竦め、溜め息をついた。
腕を組んで俺を見下すように見る。



「まさか…気付いてなかったのか?」



「……気付いてたよ」



気付いていた。
久しぶりに出会ったときから。