茜side
蒼と芹奈ちゃんと別れて、あたしは角の路地へ曲がった。
はぁーと息を吐き、ポケットに入っていた携帯電話を取り出す。
着信履歴には同じ人の名前が並んでいる。
あたしはまた、深いため息をついた。
30分おき位の間隔で電話をかけてきている。
言いたいことが分かっているから、厄介だ。
また、ピリリッと電話が鳴る。
あたしは仕方がなく電話に出た。
「…もしもし」
『もしもしじゃないだろ!?何処にいるんだ!?』
「……日本」
あたしがそう答えると、電話口でため息が聞こえる。
溜め息をしたいのはこっちのほうだ。
『日本って…おばさん達心配してるぞ!?喧嘩した後、いきなりいなくなったんだから…。いつ帰ってくるんだよ。早く仲直りしたほうが…』
「あたし…帰らないから」
そうはっきり言った。
あたしは帰らない。
ううん、帰りたくない。
貴方が帰ってきたほしいと言っても。
あたしは此処でやらなきゃいけないことがる。
それを諦めて帰るなんていや。

