だけど、振り返った時には涙の跡は無かった。
気のせいだったのか…?
「わりぃ。いいだせなくてさ…」
違う。
そんなの言い訳に過ぎない。
言いだせなかったんじゃない。
言えなかったんだ。
茜の反応が怖くて…
俺は怖がってばかりだ。
茜が帰ってきてから、臆病になっている。
「蒼、折角だから二人で遊んできなよ」
「……茜は?」
「二人の邪魔しちゃいけないから、ちょっと遊んでから帰るよ。葵さんにはちゃんと説明しておくから」
そう言って茜は一人でどっか行こうとした。
そんな茜の腕を俺は掴んだ。
無意識だった。
茜はキョトンと不思議そうに俺を見る。
「…蒼?」
「一人って…折角帰って来たんだ。一緒に遊ぼうぜ」
「で、でも…あたし邪魔でしょ?」
茜は気を遣ってくれている。
それは分かっている。
だけど、俺はそうさせたくて茜に芹奈を紹介したんじゃない。
「邪魔じゃない」
「でも…彼女は…」
そう言って茜はちらりと芹奈を見る。
芹奈はにっこりとほほ笑み、茜の手をぎゅっと握る。
「邪魔じゃないから…あたし…茜ちゃんに会いたかったんだぁ」
その悪意の籠っていない、純粋な瞳に茜は目を丸くさせた。
暫くしてふっと微笑み、肩を竦める。
「…ありがと」

