俺はちらりと時計に目を向ける。
実はある人と待ち合わせをしている。
茜に会わせようと思っていたのだが…
茜に内緒で、どういう反応をするのか…
「蒼っ!!」
そんな俺の不安をよそに、ジャケットを羽織った芹奈が笑顔で駆け寄ってくる。
茜は芹奈を見て、キョトンと首を傾げる。
「蒼…この子は?」
「初めまして、芹奈です」
「紹介する。……俺の彼女」
そう言った後、空気が変わった気がした。
茜はじっと芹奈を見ていて、なにも言わない。
気まずい空気が流れている気がした。
だが、それは気のせいのようで、茜はにっこりとほほ笑む。
「彼女さんかぁ…可愛い子だね。茜だよ、よろしくね?」
茜は芹奈の前に手を差し出す。
芹奈は戸惑いながらも、その手を握った。
「よろしくね」
「もうっ!蒼、ちゃんと言ってくれればいいのに~」
気のせいだろうか?
背中を向けた茜の瞳に涙がたまっていた気がした。

