「じゃ…バイバイ」
「夕飯食べててばいいのに」
「でも…甘えられないよ」
そう言って悲しそうにほほ笑む芹奈
家に帰って一人になるんだったら、もう少しの間いてもいいのに。
俺がそう思っていても、芹奈は違うんだろうな。
小さな小さな子供のような背中
きっと…このまま俺の家にいたら、家に帰れなくなるんだと思ったんだろうな。
俺はぎゅっと後ろから芹奈を抱きしめた。
「あ、蒼…?」
芹奈は戸惑ったように俺を見る。
「寂しかったら…気にせずに電話してきていいから。芹奈は…一人じゃないんだからさ」
「…ありがと」
芹奈が笑っていることが分かる。
俺はぎゅっとさっきよりも力を込めて、芹奈を抱きしめる。
「じゃあね」
芹奈は手を振り、俺の傍を離れて行った。
芹奈が見えなくなるまで見送ると、俺は家に入ろうと玄関に戻った。
その時―――――
「蒼…?」
懐かしい声がおれの名前を呼ぶ。
振りかえると、そこには一人の女の子が立っていた。

