俺が動揺していると、女の子はじっと俺を見つめる。
目をそらさずに、ただ真っ直ぐに…。



『あたしは…好きだよ』



女の子は俺にそう、告白した。
一瞬の迷いもなく、恐れもせずに俺に伝えた。
なのに…俺はちゃんと自分の気持ちを伝えないのか?



『俺も…』



そう頷くと、女の子は嬉しそうにほほ笑んだ。
だけどその目には、まだ悲しみが含まれていた。



『…嬉しい。やっぱり…離れたくないよぉ…』



そう泣き崩れた女の子。
女の子はぽつりと話しだした。



『あたし…アメリカに行っちゃうんだ…』



『…え?』



一瞬何が何だか分からなかった。
ただその時、時が止まった様な気がした。



『パパの仕事で…ついていかなきゃいけなくて…。もっと…誠や…大好きな蒼と傍にいたいのに…』



ただ、幼い俺たちにはどうすることもできなかった。
好きでも、まだ幼すぎて気持ちだけでどうにかできるわけじゃなかった。