「もしもし、誠?どうした?」
それは誠からの電話だった。
珍しい。何か遭ったのか?と思っていると、誠ははぁーっと深くため息をつく。
『どうした?じゃねぇよ。今…彼女と一緒か?』
「あぁ」
誠は俺と愛が付き合っていることを知っている。
そのことを聞いた時、誠は俺に「お前はそれでいいのか?」と聞いて来た。
誠と話すのは、その時以来だ。
『本当に…いいのかよ』
誠はあの時と同じように尋ねる。
俺は苦笑してしまった。
「言っただろ、誠。いいんだよ」
『本当は楠が好きなのにか?』
「俺が決めたことだ」
『…森川が傷つくんだぞ?』
今日の電話越しの誠はいつもより俺に突っかかる。
「…芹奈が傷つかねぇならいいよ」
『……意味わかんねぇ』
誠は電話越しで溜め息をついていた。
「意味わかんねぇのはこっちだよ!!いきなり電話してきて…」
『……楠が退院したんだってさ』
「えっ…」
それを聞いて、声が出なくなる。
芹奈…退院した?
『明日、学校来るみたいだぞ』
嬉しい。
だけど…
『いいのか?お前は』
「…他にどうすればいいんだよ」
今…芹奈の傍にいても、芹奈は傷つくだけ。
俺が傍にいても…芹奈が苦しむだけなんだよ。
そう言うと、誠は電話越しではぁーっと深くため息をつく。
『誰が傍にいてほしいのか…それを決めるのはお前じゃなくて、楠自身だ。お前は自分の気持ちに正直になればいいんじゃないか?』
「誠…」
誠に教えられるとは思っていなかった。
そうだよな。俺が傍にいてもいいかは芹奈が決めることだ。

