「あぁ。誠も杪(こずえ)ちゃんと仲直りしろよ」
ニッと笑い、そう言うと誠は目をぱちぱちさせ、ぽかんと口を開けていた。
「なんで知って…」
「杪ちゃん本人に聞いた。『誠くん…あたしの事、嫌いなのかなぁ』って泣いてたぞ」
それを聞くと、誠は急にムスッと不機嫌になり、頬杖をついた。
そんな誠に追い撃ちをかけるように、俺は杪ちゃんの事を話す。
「『別れなきゃいけないのかなぁ』って目を真っ赤にさせて泣いてたぞ?」
「…俺に謝れって?」
冗談じゃないと、断固拒否するような誠の姿勢に俺は肩を竦める。
「仲直りはしたほうがいいって言いたいんだよ。何が原因か知らないけど、互いに想いあっているんだからさ」
そんな二人が羨ましいと思っていた。
俺もこんなふうになれたら…と憧れていたんだ。
「…フラれたら後で慰めてやるよ」
そういって俺の肩をポンッと叩くと、誠は教室を出た。
その後ろ姿を見て、俺も勇気を出そうと立ち上がった。