ぼーっと外をしばらく眺めていると、からからと病室の扉が開いた。
それでもあたしは外を眺めていた。
「…芹奈」
「由貴さん…どうしてお父さんに電話したの?」
あの家を飛び出してから、父親とは会わなかった。
由貴さんのお母さんに会いたくなかったから…
あの空間にあたしの居場所はない。
あたしは邪魔なんだよ、お父さんにとって。
由貴さんは肩を竦める。
「仲直り…してほしいんだよ」
「由貴さんの幸せを…崩しちゃったのに?」
お父さんが…ちゃんと由貴さんのお母さんと別れていたら…
あたしのお母さんも、由貴さんの家庭も崩れずに済んだ。
全て…あたしのお父さんが悪いのに…
どうして…そんな人を許せるの?
あたしには無理だよ、由貴さん。
「それでも…芹奈が幸せになるなら…いいよ」
「……由貴さんが辛くなるなら嫌だよ」
由貴さんが辛い思いなんてしなくていい。
あたし…知っているんだよ。
貴方が…自分を犠牲にして、あたしの傍にいてくれていること。
「…聞いたよ。彼女さんと…別れたんでしょ?」
あたしの言葉に、由貴さんは動揺していた。
由貴さんは…高校生時代から付き合っている人がいた。
見たことあるけど、すらっとして、芯が強そうな…大人っぽい女の人。
悔しいけど…お似合いだと思っていた。
それに…由貴さんの嬉しそうな顔を見るたび、それでもいいって思ってた。

