「…帰って」
「まだ…許してくれないのか」
お父さんは悲しそうにそう言う。
「……許せないよ」
幸せな日々が崩れてしまったあの時から…あたしはあなたのことが嫌い。
あの日々を戻して…とは言わない。
でも…ちゃんと謝ってほしい。
どうして…お母さんとお見合いをしたいのか。
どうして今、由貴さんのお母さんと再婚したのかを教えてほしい。
だけど…お父さんは一向に口を開かない。
なら…あたしは口を利きたくない。
「お願い…帰って…」
お父さんは溜め息を深くつくと、花束を置いて病室を出て行った。
久しぶりに見た、父親の顔は少し痩せていた。
ちゃんと…食事を摂っているのだろうか。
憎んでいても…嫌いでも…やっぱり父親だから気になってしまう。
あたしはどうすればいいんだろう。
高校に入ってすぐ、あたしはあの家を飛び出した。
居づらかった。あたしは邪魔なんじゃないのか…そればかり考えて辛かった。
「今更…許すなんて…」
出来るわけない。
もう…昔とは違うから。
あたしはどうしたらいいんだろう。

