遠藤先生と話した後、俺は森川に会いに行った。
彼女はびくびくと怯えたような目で俺を見つめる。
まるで…俺が悪者みたいだ。
「先輩…ごめんなさい」
彼女は震える声で確かにそう言った。
「ただ…あの人に…先輩が好きじゃないなら…関わらないでって言いたかっただけなのに…」
「……本当にそうだった?」
彼女の肩が震えだす。
ぽろぽろと流れる涙。
それでも…俺は彼女のことを許すことはできなかった。
「ご…ごめんなさ…ぃ…」
俺のせいでもあった。
彼女にはっきりと言えばよかったんだ。
『芹奈のことが好きだ』って…
そうすれば…誰も傷つかずに済んだのかもしれない…。
「でも…先輩のこと…好きなんです…。本気で好きだから…中途半端な気持ちで…仲良くしてほしくなかった」
彼女から『好き』という気持ちが伝わってくる。
どうして…俺は芹奈じゃないとだめなんだ。
芹奈じゃなくても…こんなに俺のことを好きでいてくれる子はいるのに…
「先輩…あたしじゃ…ダメですか?」
彼女は俺の腕を掴み、見上げる。
俺は彼女の手を払うことができなかった。
「お願いです…好きになってとは言わないから…あたしと…付き合ってください…」
「それは…無理だよ」
期待させたくない。
俺は…優しくすることなんてできないから。
そう言うと、彼女はじっと俺を見つめる。
「先輩…あの人が…傷ついてもいいの?」
その言葉に、俺は眉をひそめる。
「どういうことだ?」
「あの人のことを嫌っていたのは…あたしだけじゃありません。先輩のこと好きな子は…他にも沢山いて…皆あの人のことを嫌って…いじめようとして…」
「また何かするつもりか!?」
俺は思わず彼女の腕を掴んだ。
彼女は痛みで顔をしかめたが、俺を見てふっと笑う。
「何も…しないです。これ以上…嫌われたくありませんから。でも…そういう子達がいるって…知ってほしいだけです。先輩が思っている以上に…先輩は素敵な人だから」
彼女はそう悲しそうにほほ笑んだ。

