暫くして、病院から戻ってきた遠藤先生に呼び出された。
遠藤先生は煙草を吸い、空を眺めている。
暫くそうしていると、遠藤先生は俺にぽそっと話し出す。
「…で、女の子はどうした?」
「この後、話したいって呼び出しました」
そうか…と遠藤先生は煙草の火を消す。
黒ぶち眼鏡を外し、真っ直ぐ俺を見た。
「…芹奈は大丈夫だ。安心しろ」
俺は内心ホッとして、遠藤先生に呼び出された理由を尋ねた。
すると、遠藤先生は俺から視線を外し、はぁーっと息を吐いた。
「芹奈は…俺の幼なじみで、俺の母親、父親、そして芹奈の父親は昔からの付き合いで親友だった。そして芹奈の母親は芹奈の父親とお見合い結婚だったんだ」
そこまでは別に普通の話だった。
だけど…次、遠藤先生が話したことは俺を驚かせた。
「俺の母親…そして、芹奈の父親は元恋人だった。結婚するまで…ずっと付き合っていたそうだ」
「…それって…」
「俺の母親は芹奈の父親と結婚するつもりだった。だけど…芹奈の父親は突然、他の女とお見合いをし、結婚した」
どうして…?
俺の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだった。
遠藤先生はそんな俺にかまわず、話し出す。
「その理由は…俺は知らない。悲しみにくれた母親は…仕返しとばかりに芹奈の大切な親友である俺の父親と結婚した。俺の父親は…母親が好きだった。二人の関係は知らずに…ずっと片想いだった。だから…母親に求婚された時、嬉しくて疑いもしなかった。思えば…それが間違えだったんだと思う」
遠藤先生は遠い目をして、静かに俺に話し出した。

