あたしの涙が止まったころ、黙っていた由貴さんが口を開く。
「…大丈夫か?」
「うん…もう平気」
こういうことは慣れている。
だけど…『彼』に期待してしまって…彼がいなかったことが悲しかっただけ。
ただ…それだけ。
「ねぇ…由貴さん。あの子は…?」
「…良く知らない。どっか行ったみたいだし」
「…そう」
彼女…あたしを本気で憎んでいた。
あの目は…怖い。
『あの人』と同じ目。
殺したいほど憎むあの目。
もう…ないと思ってたのに…
「…芹奈、本当に平気か?」
「大丈夫だよ、由貴さん」
もう…思い出さない。
思い出したくないの。
だから…もう忘れるから。
「ならいいけど」
そう言ってあたしの頭を撫でた。
その優しい大きな手にあたしはまた泣きそうになる。
「…ごめんね、心配かけて」
あたし…いつも由貴さんに心配をかけてる。
あの時と…同じだ。
また…由貴さんに辛い顔をさせている。
「…いいんだよ、心配かけても」
でも…ダメなんだよ。
貴方には…大切な人がいるでしょ?
あたしが…独り占めしたらダメなんだよ。

