芹奈side
目を覚ますと、目の前にはさっきの教室とは違う、真っ白な天井
この匂いは……病院の匂い?
「此処は…」
「目、覚めたか?」
声により、隣にいる誰かいることが分かったあたしは、顔をそちらに向ける。
そこには見覚えのある顔があった。
「由貴…さん?」
そこにいたのはいつもかけている黒ぶち眼鏡を外している由貴さんの姿
「由貴さんがあたしを…?」
「…そうだけど?」
あの声は…由貴さんだったの?
教室に入ってきたときにあたしの名を呼んだのは…
期待していたのかもしれない。
『彼』なら気付いて助けに来てくれるかもって…
でも…実際助けてくれたのは由貴さん。
『彼』じゃない。
それがこんなにも悲しいなんて…
「由貴さん…胸、借りていい?」
「いいよ」
由貴さんの胸は温かくて、安心した。
涙があふれてく…。
暫く…こうしていたかった。
あたしの涙が止まるまで…