放心状態で歩いていると、部活をしている桐谷くんを見つける。
あたしは…ふと、足を止める。
フェンスには桐谷くんを好きな女の子たちが彼を見ている。
きっと…このまま関わると、あたしは彼女たちに嫌われるだろう。
もう…関わらないほうがいい。
前の生活に戻らなきゃ。
「芹奈っ!」
去ろうとすると、一番会いたくない人の声があたしの耳に届く。
『彼』は微笑み、あたしに近寄ってくる。
「見に来てくれたのか?」
「…たまたま通りがかっただけ」
ただ、それだけ。
あたしは彼とこれ以上いたくなくて彼の傍を離れる。
すると、彼はあたしの腕をぐっと掴む。
「何…?」
「どうしたんだ?」
「別に普通よ。これがあたしなんだから」
そう…貴方と出会う前のあたし。
貴方と出会ってあたしは夢を見すぎたんだと思う。
「だから…離して」
これ以上…傍にいたくない。
あたしは彼の手を振りほどいて、逃げるようにその場から去った。

