彼女は辺りに誰もいないことを確認し、にっこりとほほ笑む。
あたしを壁に打ち付ける。
「いたっ…」
「楠先輩って…蒼先輩のこと、どう思ってるんですか?」
この子…桐谷くんのことが好きなの?
だから…あたしにそんな事を聞くの?
あたしは…
「…普通だよ」
「嘘。今まで何もなかったのに、最近仲いいじゃないですか。先輩、好きなんでしょ?」
「好きじゃないよ!!」
あたしは…彼を振った。
なのに…好きなんておかしい。
彼女はあたしの顔をまじまじと見る。
「…本当ですよね?」
「…うん」
頷くと、彼女はあたしから離れる。
あたしは体中の力が抜けて、ぺたりと地面に座り込んだ。
彼女は去り際に振りかえり、
「これ以上、先輩に関わったら次は容赦しませんから」
と、冷笑を浮かべて去って行った。
怖い。
そう思ったのは久しぶりだ。
あの子は…他のこと違う。
本気で…蒼と付き合いたいと思っているんだ。
急に親しくなったあたしが気に入らないんだ。
あの子にとってあたしは…『邪魔な存在』
もう…『彼』に近づいちゃいけない。

