由貴さんと過ごしていると、授業をさぼっていたことに気がつく。
もう…いいや。
今日は授業に出る気分じゃない。
放課後になり、あたしは由貴さんに手を振る。
「じゃ、あたし帰るね」
「…あぁ。これからは来ないようにな」
と、由貴さんは冗談めかして言う。
でも…全然冗談を言っているように見えない。
本当に来てほしくないみたいに聞こえる。
また…あたしの心はネガティブになっていってる。
真っ黒な世界にあたしがいて、皆あたしを見て笑っている。
どうしても…その考えが頭から離れない。
一人でいることを自分で望んだ。
卒業まで…耐えるって…決めたのに。
一人の世界がこんなにも怖い。
お願い…あたしを一人にしないで。
そう心が叫んでいる。
あたしはその心を無視して、教室を出る。
廊下を歩いていると、ふと、自分の背後に誰かいることに気がつく。
振りかえるとそこには女の子が立っていた。
可愛らしい、少し気の強そうな女の子。
彼女はあたしを見て、にっこりとほほ笑む。
「楠先輩ですよね?あたし、1年の森川 愛って言います。ちょっと、いいですか?」
ほほ笑んでいるはずなのに、彼女の笑顔が怖かった。
冷たい…氷のような…とがった感じの笑顔。
この人…あたしを嫌っている。
そう…一目でわかるほどに。
あたしは逆らえず、こくりと頷く。
すると、彼女は満足げに微笑む。
「良かった」
彼女があたしを連れてきたのは中庭だった。
放課後の中庭は、人気がない。
だから…あたしを連れてきた。
そんなことは安易に想像できた。

