お願いだから、そんな笑顔見せないでほしい。
もっと…好きになってしまう。
「ご、ごめん…」
「いや…いつも…そうやって笑っていればいいのに…」
そうしたら…皆誤解することなんてない。
彼女が一人で…過ごさなくて済む。
嫌われなくて…済むのに…
彼女はそれに気付いているのに、そうしようとしない。
どうしてかは分からない。
だけど…彼女が前言っていた言葉を思い出すと、何となくわかってしまう。
『一人だけ…いてくれたらいいの、あたしの事…好きでいてくれる人…』
彼女には…もういるんだ。
一人ぼっちの彼女を好きでいてくれる誰かが。
彼氏じゃないって言ってたけど…彼女がそれだけ想っているんだと思うと、胸が締め付けられる。
「あ、あの…楠さん?」
「…芹奈でいい」
「…えっ?」
聞き返すと、彼女は頬を赤らめる。
目線を逸らしながら、ぼそっと呟くように言う。
「…芹奈でいいよ」
あぁ…期待してもいいのだろうか。
彼女の視界に俺が入っていると。
他の生徒とは違う。
『俺』に壁を作ろうとしないって。
なぁ…少しずつ変わっていっているのかな?
君の気持ちが…少しずつ花のように咲いていると。
だけど…俺はこの時が幸せすぎて気付いていなかった。
この後、彼女に悲しいことが起きるなんて…

