誠は頑張れよ?と俺に呟くと、手を振って帰って行った。
そんな誠を見て、彼女は不思議そうに尋ねる。
「友達と…帰らないの?」
「幼なじみだからいいんだよ」
「ふぅん」
彼女は相槌を打つと、顔を俯かせる。
俺は何とか話を続けようとした。
「えっと…まだ俺の名前、言ってなかったよな?俺は…」
「桐谷…蒼」
彼女の瞳が俺の目とぶつかる。
「桐谷くん…でしょ?」
「あ、あぁ…でも何で知って?」
「女の子に人気で…有名だから…」
だからって…俺に興味を持ってなかったら、覚えてくれないだろう。
なぁ…期待してもいいのだろうか?
君の瞳に…少しでも俺が映っていると…。
「…蒼でいいよ」
「…桐谷くん」
でも…彼女は思ったよりも手強いようだ。
一筋縄ではいかない。
「…桐谷でいい」
諦めてそう言うと、彼女の一瞬綻んだ気がした。
その瞬間、時が止まった様な気がした。
花が咲いたような彼女の笑顔。
凄く優しそうで…可愛らしい。
普通の女の子の笑顔だった。
彼女は恥ずかしくなったのか、頬を赤らめる。
そんな彼女を見ているこっちが照れてしまう。

