その日の放課後――――
俺は一人の女の子に呼び出された。
「好きです、蒼先輩」
「……ごめん」
俺は女の子に向かって頭を下げる。
女の子は眉をひそめる。
「先輩は…あの女の子のこと、好きなんですか?」
「…!?」
顔を上げると、女の子は嫌そうな顔をしていた。
さっき彼女の事を睨んでいた女の子達って…
「…先輩にはあんな人似合いません」
女の子はぎりっと肌に爪を立てる。
歯を食いしばっているようにも見えた。
「先輩が…大好きなんですっ!!」
女の子がぎゅっと俺に抱きつく。
俺はどうすることもできなかった。
女の子の気持ちに応えることも…
女の子の身体を離すことも…
ただ…
「本当に…ごめん」
謝ることしかできなかった。
女の子はゆっくりと身体を離す。
顔を俯いたまま、俺にぽつりと言う。
「先輩は…彼女の事、好きなんですね」
女の子はゆっくりと顔を上げ、にっこりとほほ笑む。
「あたし…1年3組の森川 愛(もりかわ あい)っていいます。先輩…あたし、諦めませんから」
女の子はぺこりと体を折り曲げる。
そして、何事もなかったように俺の元を去った。
そんな女の子の後ろ姿に…俺は嫌な予感を覚えた。

