その日の昼休み、俺は一人になりたくて、屋上に向かった。
すると――――彼女の姿があった。



「あっ…」



彼女は俺を見て、眉をひそめる。
そんなに嫌われてんのかなと思わず苦笑してしまう。



「…わりぃ。別のとこ行くな」



嫌われているならあんまり近くにいないほうがいいと思って、俺は屋上を後にしようとした。



すると―――――



「…いいよ、いて」



「…えっ?」



彼女は自分の座っている隣をぽんぽんっと叩く。
俺はおずおずと隣に座る。



彼女の隣はいい香りがして、居心地がよかった。
思わず眠ってしまいそう…。



「ねぇ…どうしてあたしに近づくの?」



暫く静かな時間が流れる。
沈黙を破ったのは彼女だった。



「どうしてって…」



「今までの人は…あたしが関わっちゃダメって言ったら…諦めるのに…」



どうしてって言われても…



「好きだからだよ」



それ以外に理由なんてない。
かなえたい恋だから…君の言葉は聞けない。
ただ、それだけ。



「…貴方って…馬鹿なの?」



「かもな」



誠にもよく言われる。
「お前は馬鹿だな」って。



「みんな…あたしに近づこうとしないのに…」



「君が壁を作っているからだろ?」



「…嫌いなの」



そう言って彼女は下を俯く。
彼女が一瞬、悲しそうな顔を見せてのは気のせい?



「一人だけ…いてくれたらいいの、あたしの事…好きでいてくれる人…」



「…寂しくないのか?」



「寂しくなんかないよ」



彼女は強がっているようにも見えた。
だって…こんなにも小さく見える。
まるで…何かを我慢している子供みたいだった。