そして、それから数日が過ぎた。
時は早いもので、茜がアメリカへ帰る日になった。
茜はいつもと同じように朝食を俺の母親、葵と作っていた。
「今日、帰るんだからゆっくりすればいいのに」
俺がそういうと、茜は首を横に振った。
やんわりと笑みを浮かべ、料理をお皿に盛り付ける。
「お世話になったから、何かお礼したいなぁって。あたしに出来ることはこれくらいだから」
茜はそう言ったが、世話になったのは俺のほうだと思う。
昔の恋に区切りをつけ 、前へ進めることができた。
まだ、芹奈と話してないけど…茜を見送ってからちゃんと話をしよう。
…お礼をしたいのは俺のほうだよ。
本当に茜には感謝している。
「…また遊びに来いよ?」
俺がそういうと、茜は嬉しそうに微笑んだ。
「今度は彼を連れてくるね」
今度は今よりも笑顔で茜を出迎えよう。
大丈夫だ。
もう…君は大切な幼なじみだから。
君の幸せを静かに願っている。