__当時中学一年生


小さいときから走るのが大好きだった。運動神経のいい父親の遺伝子をいっぱい受け継いだのか徒競走で負けたことは一度もなかった。

一番前を走るのが楽しくて楽しくて。中学に入るときはもちろん陸上部と決めていた。

部活でたくさんのメニューをこなしても足りなくて俺は部活が終わって家に帰ってもすぐにまた家を飛び出して近所にある大きな公園の近くを走っていた。あの日も部活から帰るとすぐに家を飛び出したんだ。

「いってきまーす」
桜がそろそろちらほら散る頃で道にはたくさんの桃色の花びらが散らばっていた。

俺はその花びらの上を駆け抜けた。風が前から吹いてきて。ホントに走るのが楽しすぎる。