体育館から聞こえてくるバスケットボールがゴールに入ったり跳ね返ったりする音。

懐かしくて、恋しくて。

そう思いながら体育館の前を通ろうとした。


ポンポンポン……

足元にボールが転がってきた。俺はボールを拾おうとしゃがみこんだ。

「すみませんっ!」体育館の入り口からトコトコ走ってくる女の子。

俺はボールを持ち上げて声のする方を見た。

「……っ」
「ありがとうございます」笑顔で笑う彼女。俺は手に持っていたボールを彼女に手渡した。

彼女は小さく会釈して体育館に入っていった。