俺は正直怒鳴ったことを少し後悔していた。もしまた怒鳴ったことで崎田が傷ついてしまったのではないかと思っていた。

でも崎田がそう思ってるなら怒鳴ってもよかったのかもしれないと思った。

「それにしても聖矢の好きな人って誰?」単刀直入に尋ねてくる千夏。

「それも聞いたのか」苦笑いで千夏に返事をする。

「うん。誰よ?」
「言わねーよ」俺はしっかり結んだスパイクをポンと叩いてその場から立ち上がった。

「聖矢のケチー」千夏の声を無視して俺はスタートラインへ向かった。

脳裏に浮かぶ彼女の頑張る姿。やっぱり好きなんだな、俺は。