「こんな物もあるし、家庭科室に行けば包丁もある。
技術室に行けば電ノコなんかもあるしね」
それらが指し示す事柄を思い浮かべ、俺は心底眉をひそめた。
想像の中ではもちろん俺と千秋なんて事は無く、まったく知らない、あいまいな顔をした人物たちだ。
彼らが互いに喜んでいたかも、嫌がっていたのかも思い浮かばない。
「その思念?怨念?が今も残っていて、
この準備室に訪れた人を操ってしまうという噂だ」
残っているものが怨念なら、その教師の恋人は間違いなく相手を恨んでいた事だろう。
そう考えると、猶更この話は後味の悪いものになってしまう。
ますます表情を歪める俺を見て、彼は言った。
「君にはさ、わかんないかな?
本当に好きで大好きで、どうしようもなくて」
1つになりたいと思ってしまう。
「……まるで自分の事のように話しますね」
「そうなんだよ。
操られていなくとも、困った事に僕には彼の気持ちが痛いぐらいに解ってしまうんだ」
そう言った彼の瞳は、刃物の様にギラギラとしていた。
そこに映っているのが俺ではない事が唯一の幸いだろう。



