「今から20年以上は前だな。
その頃はこの準備室もまあまあ使われていたそうで」
けれど放課後には誰も足を踏み入れない。
そんな場所を恋人との密会場所に使っていた教師が居たそうだ。
「恋人を愛しいと思うあまりに彼は、一つになりたいと思ったんだ」
そこでまたニヤリとし、
「その時点で君の想像した意味で食べてはいただろうな」
そんな事を言う物だから、俺の視線も再び温度を下げた。
「その頃は生物の授業でカエルの解剖をしたりしていたらしくて」
そう説明しながら、背後の棚を指さし、ガラス越しに何か細長い物をなぞった。
「今はやっていないようだから、ほら、道具もしまい込んだままなんだ」
コツコツ、と小さく叩かれたそこを凝視すると、どうやらそれはメスのようだった。



