「ビオンが来るんだってね。」

恒くんの言葉にドキンとした。

「CDショップにポスター貼ってたからさ
ほら…チケット。」

恒くんが私によこしたのは ビオンのキャンペーンイベント

「すぐになくなるって言ってたからさ。」

恒くんが私との仲を勘違いしてるから
ビオンに会うのをやめようと思っていた。

「行っておいで。」

「あ……うん……。」

チケットを受け取って 困惑していた。


「ちゃんと話してこいよ。あんまり人気出たら
話すこともできなくなるから。」


「別に話すことはないんだけど。」


恒くんは悟りきった顔で私に向かって笑う。


  バカ…私が誰を好きなのか全然わかってない


ビオンが好きなら 絶対初めてはビオンに捧げるでしょ?
鈍感にもほどがある……。

でも…私は恒くんの足手まといだから
このまま黙って別れよう。


ビオンを愛してるって勘違いさせたままで…
そうしたら恒くんは罪悪感にさえなまれることはないだろう。