部屋はきれいに片付いている。

「昨日 帰ってから必死でやったんだ。
もうめちゃくちゃ…で大変だった。」

「いいのに…お仕事大変なのに
私のところにも毎日きてくれて……。」

「やっぱりさ 寂しかったな。
いつも帰ったら紅波がいるけど…その生活に
最初は慣れなかった。」

恒くんは私をダイニングに座らせた。


「……もう 慣れた?」
思わず私はそう言った。
話のタイミングにはいいきっかけだった。

「ん?」恒くんはセットしてあった
コーヒーをおとしてくれて
いつものいい香りが部屋に充満していた。

「ずっと考えてたの。」心臓がドクドクしてきた。

「うん。」恒くんの目は優しく落ち着いている。
次に私が何を言おうか 悟ってるような気がした。


「もう契約解消しない?夫婦ごっこはもう終わり。」

声がかすれた。

恒くんはいつものマグカップに
コーヒーを入れて私の前において座った。

「俺も・・・・そう考えてた。
同じこと……考えてたんだね。」


本当は…止めてほしいって…そう期待してた。
ちょっとでも恒くんが やだ って言ったら
このままそばにいてもいいのかなって…
そう思っていたけど


「これ・・・・。」

私が前にもってきた離婚届を
恒くんが私の前においた。