窓から夜景を見ているとビオンがやってきて

「あの…あなたに会いたがってますけど。」
そう言った。

「そうですか。」

「あ それじゃ俺は帰りますので……
紅波のことよろしくおねがいします。」

ビオンが頭を下げた。


 よろしくって……

「俺の方が…お願いしないといけないのに…。」

「え?あ…とりあえず…戻りますので
何かあれば…祖母の方へ連絡もらえますか?」

「わかりました。
すみません。忙しいのに…紅波のこと…
よろしくお願いします。」

ビオンは一瞬 え? って顔をしたけど

頭を下げて帰って行った。


紅波に会うのが辛いと思った。
どんな顔をして会えばいいのか……

この事故だって元はと言えば俺のせいで…


俺は大きく深呼吸をした。


そして言おう。


  自由になっていいよ って……。


背中を押してやろう。
それが夫婦ごっこを強要した俺の
責任の取り方だと思った。