夫婦ごっこ

一睡のしないで朝を迎えた。

朝 氷の張ったプランターを見ていると隣から
バタバタと忙しそうな声がして

「おはようございます。」と声をかけた。

「あ おはよう~~。」

顔を出したのは前さんだった。

「世話になったね。今日引越すから。」

「お手伝いすること…あります?」

「え~~甘えればたくさんあるけど…。」

「じゃあ 行きます。」

「だって大浦出勤でしょ?」

「用意して行きます。」

恒くんの顔をまっすぐは見られない。


逃げ出したい気持ちだった。

朝食の用意をして メモに

『前さんの引越しお手伝いしてきます。
仕事 頑張って。ごめんなさい。』

一緒において家を出る。

もうすぐセットしたアラームが鳴る時間。


前さんの家はいつもと変わらない。

「おまかせパックですか?」

「そうそう。千鶴は大事な体だからね、
無理はさせられない。」

「おはよう 紅波ちゃん。」

千鶴さんがコーヒーを持ってきてくれた。