「キス……。」言いかけたら

「そうよ。奪われちまった。
最近の女子高生は…大人をからかいすぎだ。」

「キスだけ?」

「奪われただけだって。」


  よかった・・・・・。

「俺だって分別のある大人だしな。
それに妻の妹とどうにかなるわけがないだろ?」


  よかった・・・・・。


「妹とだけは……絶対ありえない。」

「あたりまえだよ。」


恒くんの背中が広く見える。


あの背中に頬をよせたい。


  好き  好き  好き


聞こえる?恒くん


  好きだよ。



「心配したんだぞ。ホント。
若い娘がこんな時間にほっつき歩くなよ。」

恒くんが上着のポケットからコンビニの袋を出した。

「ほら…。」甘いカフェオレをくれた。


「ありがとう。」


「めっちゃ喉乾いた。」
恒くんは ブラックコーヒーを飲みほした。