「魔法かけてもらった…。
ギターの音…やっと落ち着いた……。」


「帰んな。」


ビオンの言葉に顔をあげた。
オレンジ色に輝くビオンはめっちゃカッコいい。

「帰るな。」

「帰んなきゃ…新しいワイシャツとスーツ…
朝食も作んなきゃ…。」

「そんな奴になんでそんなことすんだ?
利用されてんのに……。」

「利用…?いや違うよ。契約してるから……。」

「辛いんだろ?じゃあ帰んなよ。」

ビオンの力がこんなに強いのに驚いた。

「ビオン…苦しいよ…。」

「また帰ったら泣くんだろう?一人で……。
だったら帰るな…。もうこれ以上傷つくな。
好きになるな。」

ビオンの言葉が心に沁みてくる。

「ビオン……私きっとバカなんだね…。
こんなに辛いのに…恒くんを求めてるの。」

「俺は泣かせない。」
ビオンの言葉に私は
ハッとした。


「私…あ……私……。」

おろおろとする私をビオンが驚いて離した。


「ごめん…ごめんビオン……。」

そう言うと部屋を飛び出した。