「お互いを必要としてたの。
だからそこに愛はなかったけど結婚した。
最初から好きにならない約束だったのに……
私はどんどん好きになって……
でもそれを伝えることができなくて……
だって言っちゃったら
もう一緒にはいられないもん……。」


ビオンがため息をついた。


「バカじゃん…。」

「好きなの…好きで好きで気が狂いそうで
だけど絶対恒くんの前ではそんなそぶりだって
しちゃいけないでしょ…。」

「そいつずるいんだって。」

「ずるい…うんずるい…。
こんなに私を夢中にさせて自分は他の女を
愛して…忘れられなくて…。」

しばらく泣き続けていた。


ビオンは懐中電灯を照らしてギターを奏でた。


ギターの音が私を少しづつ落ちつけてくれた。


「帰る…。もう帰んなきゃ…。」


朝日が差し込んできて私は立ちあがった。

「恒くんが…着替えに来るから……。」

一瞬ふらついて転びそうになった私の腰を
ビオンの華奢な腕がささえてくれた。


「危ないって!!!」

そのまま力いっぱいビオンに
抱きしめられた。