私だって泣いてるよ…。

「俺が・・・もう少ししっかりしてたら
あいつも紅波もこんなことにはならなかったのかな。」

私はとうとう真実を知る。

「千鶴さん?」

  違うって言って…


一瞬驚いた顔になった恒くんが 静かにうなずいた。

「俺と千鶴は昔付き合ってたんだ。
大学に入ってすぐに俺は 千鶴に一目ぼれして……
四年間…それから同じ会社に入って……
だけどあいつは突然別れてくれって言ったんだ…。」


さっき ビオンに塗ってもらった薬
もう一回塗ってもらいたい


恒くんの告白を 必死に冷静な顔で受け止める。


恒くんは
私との間に愛というものは成立していないと
信じているから……。

「前と結婚するからって突然だった。
気づきもしなかった。千鶴が前と付き合ってることにも。
俺は千鶴は絶対に俺を待ってる女だって
そう都合よく思ってたから…。
泣かせても…心配させても…
俺が愛してるって抱きしめれば千鶴はいつも
許してくれた……だから…別れるなんて
思ってもいなかったんだ。」


私の心は真実を受け止める
力を持ってるのかな……。


恒くんは突然フラれたんだ。
千鶴さんにたっぷり心を残しながら…。