夫婦ごっこ

朝になっても恒くんは戻らなかった。

私はボーっとしながら…家にいるのも
辛くて地下鉄駅の近くのコンビニへ歩いて行く。

真っ赤な朝焼けが 腫れた目には眩しい。

今日は休日……。
バイトも休み……。

いっそのことバイトだったらよかった。
そしたら恒くんのこと待たなくてよかったのに。


コンビニに行ってパンを数個かごに入れて
甘いコーヒーを手にした。


「いらっしゃいませ。」
店の奥から声がして店員がレジの前に走って来た。

「あ?」

「あ!!朝っぱらから何してんだ?」

「ビオンこそ。」

「俺はバイト青年だからな。」

レジからおつりを出すしぐさもさまになっている。

「これから店?」

「三時間くらい寝て行く。」

「すごいね。」

「俺 もうあがるからちょっと待ってろ。」

ビオンが来るのを立ち読みしながら五分くらい待った。


「お待たせ~~。あ~~しんど~~。」

大あくびをしてビオンが隣に立った。

「そのパン食いたい。」

ビオンが袋をとりあげた。