ふいにあの大学時代の友達を思い出した。


前さんが言っているのはあの二人のことだろう。
私もトイレで聞いた。

  あの二人が結婚すると思ってた

そう思うと前さんが言ったことが なんだか
引っ掛かり始める。

二人の間には何か…二人だけの空気があることを
私も何気に感じていた気がする。
何度か聞こえた電話の相手も

何かに悩んでいるという感じだった。


それがもしかしたら千鶴さんだったなら

恒くんが愛している人って…
もしかしたら千鶴さん?

トランプのソリティアのように急に
何もかもうまく動き始めて数字が揃って行く。


  千鶴・・・・つぅ……


  ちづる…… づる…づ…つぅ……

あの時寝言で呼んだ名前も

もしかしたら 千鶴さんのこと……?
千鶴さんだけは…イヤだった…。

だって…近くにいすぎる…
そしてかなわないくらいキレイだから……


私の心の中に確信があと数個のピースで
出来上がる……。


愛しているのは…千鶴さんなの?