夫婦ごっこ

「え・・・・。」

恒くんが言葉を失った。

「だって…さっきも寝たから…眠くないもん…。
まだ…恒くんと話しがしたい。」

「いや それはいいけど…。」

私は素早く恒くんの隣にもぐりこんで


  大成功~~~

「紅波って大人っぽくしてるけどけっこう赤ちゃんだな。」

「え?赤ちゃん?ひどいな~~。」

恒くんが笑った。

「私は…甘えたりするのが下手だから
いっつも夜が怖くてママのところに行っても
もう桃音にとられてて…三人で仲良く寝息たてて
寝てる姿を見ながら…怖い夢を思い出して眠れないこと
けっこうあったんだ。
だからさっき恒くんとこうやって一緒にいる時
なんて安心できるのかなって思った。」

「桃音ちゃんは 紅波とは正反対だからな。」

「わかる?
桃音はずるいんだもん。
でも…あれはそういう天性なんだろうな。
誰からも愛される術を持ってる。
私にはそれがない…。
誰にも愛されない…愛された事がない……。」


  なんだか寂しくなった。

「そんなことないよ。
一人に愛されればいいんだからさ。」


  じゃあ 恒くんが…愛してくれる?


「愛される時が来るのかな。」

「そんな時が来たら 俺に言えよ。
その腕の中におまえを送ってやるからさ。」


  鈍感……


私は恒くんに愛されたいんだよ……。