頭から湯気が出ている。
もう頭に来て頭に来て フロントの人の後を
足音を立てて歩く。


きっとただならぬ気配にフロントの人も
緊張気味に館内を説明している。

私のパート代も寄付して新館に宿をとってもらった。


「うわ すごい部屋だな。
宿泊代大丈夫なのか?」

乱暴にバックを置いた。


「怒るなって…。ごめんって。」

「途中の湖だって行きたかったのに…
峠だって怖くて…何回もよんだのに…ひどいから…。」


ひどい扱いだと思った。

「運転なんて慣れなんだぞ。なんでも経験だって。」

恒くんがTシャツを脱いだ。
裸の胸が見えて私は慌てて窓の方に顔を向けた。


ドキドキするなって…

「俺もひさしぶりだな。温泉。」

ふり向くともう浴衣を着ている。

  ドキン……


  かっこいいんですけど……
  私今…怒ってるんだけど……


「ほら…甘いもん食べろ。
機嫌なおしてさ。」

私の扱いを簡単に恒くんは知っている。


私は恒くんの方に身を乗り出して
口を開けた。

恒くんは笑顔でまんじゅうを
私の口に全部頬り込んで口をおさえた。

もがく私
笑う恒くん


  大好き 本当に好き


こんなに接近したのって…初めてな気がした。