「さゆか、話したいことがあるんだけど」


「なに?」


「急に会いたくなって」


「もう、何それ~!」


二人の会話が痛々しい位に聞こえた。


あたしはタイル張りのトイレの壁によたれかかる。


掃除されてないのか、ピンクと白のタイルは少しくすんでいた。


「さゆか、好き」


「あたしもゆうまが好・・・」


さゆかが言いかけて終わったのに、理解するのは早かった。


時折さゆかの荒い息が聞こえた。


苦しそうな、精いっぱい生きてるような、その嬉しい息を聞いて、あたしは、何もすることができない。


ただ、隠れることしかできない。


自分の無力さに、笑うことしかできなかった。