「お茶でも飲むかい」おかみさん鬼がドアを開けて入ってきた
四畳ぐらいの部屋だがもういっぱいの気がする
親指と人差し指でお茶を差し出すとタバコをすいながら窓の外に目を凝らす
その視線の先にはじじいの姿がある
「ああやってね待ってるんだよ。敵をね」フーと白い煙が舞い上がる
じじいはベンチに座り杖を前にじっとなにかを見つめてる。

「敵ってなんですか?」隣に並んでじじいを見る
「昔はまじめな銀行員だったけどね。殺されたんだよ
一家全員強盗にね」
フーッっと煙が部屋中に広がる
「私が彼の案内人だったんだよ もちろん天国行きだったさ、が、彼は断ったんだよ
家族の恨みを晴らすためにね。ここで待ってれば必ず奴は来る
しかも地獄行きは確実だ。そうなれば何しようと文句は言われない
彼はその時鬼になるのさ」