眼力を持つ少女~強く、儚き命~


「沙月、私なら大丈夫だから心配しなくていいの。ね?」

「……っつ!」


ダァンッ!!!!!



「…分かった。これで、我慢する。」




側の壁を思い切り殴って…


あんなに手を赤くして…









沙月はいつも私の心配をしてくれる。

でも、私のせいで、沙月までを傷つけたくない…





「…沙月、ありがとね。」


小さい声で呟いた希優の声だったが、沙月には聞こえていた。




「どーいたしまして、お嬢!」


「調子に乗らないの。」


「はいはいっと~」


「…ハァ。じゃ、教室に行きましょうか。」

「いいけど、あいつ置いて行っていいの?」


「あいつって……あ。」







私達、担任の先生を置いてきたんだったわ。











「野中先生も一緒に、連れて行きましょう…」









そしてきた道を戻り、野中先生を連れて教室へと向かった。