「ちょっと、何イラついてるの?」
理事長室を出てからというもの沙月は希優の手をひっぱりズンズンと歩いて行った。
野中先生を置いて……
「沙月っ、沙月ってば!」
「……」
呼びかけても返事がない。
「沙月。私の言葉を聞きなさい。
止まりなさい、命令よ。」
希優が少し声を低くして言葉を放つ。
沙月の足は止まった。
「沙月、いきなりどうしたのよ?野中先生も置いてきちゃったじゃない。
ほら、理事長室に戻りましょ「希優はさ、嫌じゃないの?」…」
「…嫌?何が?」
希優は何も感じてないように見えるけど、絶対に嫌だったはずだ。
どうして、隠すんだ…

