話の途中、何かの破裂音が私たちの会話を妨げた。



「え、もしかして、」



窓の方を向くと、また連続して破裂音が響く。


「花火、だよね!?」


椅子から立ち上がって、花火がどこで打ち上げられているのか探す。


「あー、そういや毎年この時期にお祭りやってたなぁー」


しみじみと彼が言う。

暗闇に目をこらすと、隅の奥に咲く花火。そのあとにワンテンポ遅れて破裂音。
闇に、鮮やかな光たちが溶ける。

「あ! すごい!! 見えた見えた!」


興奮して彼の方を向くと、彼は机の隅により、私に手招きをしている。

「こっちのほうがよく見える」


「ほんと!?」


彼の隣に椅子を寄せて、彼のすぐ隣で外を眺める。
確かに、続けて放たれた花火が、さっきより綺麗に見える。



「うわー! すごいすごーい!」


「よかったね」


「うん!」


花火に歓声を上げる私を、彼は微笑みながら見る。


ふと気付くと、さっきよりもずっと彼との距離が近い。

花火に夢中過ぎて、彼と身体が触れるくらい近くに座ったことに気付かないでいて、いまさらそれを認識して恥ずかしくなった。



.